愛知県知多市の地域で支える就労支援

昨日は愛知県知多市が開催する「若者就労支援フォーラム2019」にお招きいただき、各地の若者就労支援の取り組みについて、というタイトルで講演の機会をいただきました。

知多市には「ちた子ども若者支援ネット」という、行政機関やNPO、民間企業が参加する中間的就労を支援するネットワーク組織があります。社会福祉協議会がネットワークの事務局機能を担っているということでしたが、この社会福祉協議会のスタッフの方々が素晴らしい方だったのが印象に残っています。

福岡県北九州市の総合相談センターのYELLや、東京都文京区のフミコム、そして知多市の子若ネットといった活発に活動を続けているネットワークの共通の特徴としては、ハブとしての社協がしっかりしている、というところですね。
社会福祉協議会の役割や活動についてはこちら↓

さて、知多市の取り組みは前々から大変興味深く拝見しており、いつか現地でその活動を支えている方々にお会いしたいと思っていたところに、今回のようなお誘いをいただいたのは非常にありがたかったですね。

知多市では、中間的就労の促進ということで、このネットワークの活動が非常に特徴的なのです。

何が特徴的かというと、就労体験の場を、その地域で事業をされているさまざまな企業と連携することで提供しているというところにあります。

ちた子若ネットでは、平成28年に、15歳から39歳までのニート、ひきこもり状態にあり、障害福祉サービスを利用していない方を対象として、中間就労準備支援、企業開拓、人材発掘・育成を試験的に実施しています。

同時に、知多市商工会を通じて、市内事業者約1000社を対象にして、「若者の中間就労に関するアンケート調査」を実施、ヒアリングを経て約30社から中間就労体験の場を提供してもよい、という事業協力を取り付けています(ちなみに、平成30年時点では48社に拡大)

その上で、22歳から38歳までの男女8名が、製造業など6事業所で就労を体験し、うち2名が市内事業所に正社員として採用されたということです。

非常に参考になるのは、上記の調査および体験就労支援のコスト負担を、地元のライオンズクラブやロータリークラブの寄付によって賄っているということです。

こういった活動を展開する場合、行政による助成金や事業受託によって賄おうとするケースは非常に多いのですが、知多子若ネットではその道を選ばず、地元の他のネットワーク組織にアプローチしたという意思決定をしている。

資金調達ルートを多様化するとともに、自ネットワークの認知度向上やプレイヤーの巻き込みといった様々な面で、このトライはいい影響を及ぼしたのではないかと思います。

知多市は大都市である名古屋から電車で30分ほど。多くの若者が名古屋に働きに行く中で、中間的就労の場を設けて、就労を希望する若者と地元企業をつなげる接点を作ることは、地域福祉という観点だけでなく、まちづくり・地域経営という観点からも重要なのではないかと思います。

一方で、課題として挙げられていたのは、集客(=参加者を増やすこと)と、参画企業との関係維持というところにあるということでした。

岡山県勝央町でも同様の取り組みを進められていますが、こちらも参加者がいないということが課題になっています。

良い仕組みを作っても、それが使われなければ意味がありません。
広報や情報発信のテコ入れ、あるいは利用可能なターゲットの拡大といったところが正攻法的な打ち手として考えられるのではないでしょうか。

また、参画企業の関係構築としては、年1回程度、活動報告を訪問して行ったり、あるいは、今の若者の就労に関する意識や考え方を伝えるといったことも有効かもしれません。企業にとって、どのような会社であることが、若者にとって魅力的に映るのかは、なかなかノウハウの蓄積がない分野のひとつです。

現場で若者と接点を持っているからこそ持てる気づきや学びを子若ネットから提供することができれば、企業が参画するインセンティブになりうるのではないでしょうか。

社会福祉法人という民間事業者としての活動の幅広さと柔軟性を活かして、今後の活動展開にまい進していけるとよいのではないかと思います。

失敗の相対化~成功体験と同じくらい大事な失敗体験の蓄積~

年末に茨城県の精神保健福祉センターにお招きいただいた際の話の内容がいつの間にか記事になってました

当日は60人くらいの方がご参加されており、私とひきこもり大学の茨城キャンパスを主宰されている大谷武郎さんのご講演の前に自分の経験をお話する機会をいただきました

私は大学院時代に半年間ほどですが自分の家からほとんど出ることができなかった期間があります。多くのひきこもり経験者の方からすればごくごく短期間の経験でしたが、その経験もあったからこそ今でもこういうお仕事をさせていただいているので、経験というのはどこで活きるかわからないものです。。。

上記の記事の中でも書いてありますが、自分のひきこもりのきっかけはいわゆる「学業のつまずき」でした。

大学院での研究がうまくいかず、教授やゼミの先輩や同期の方々にそれを打ち明けることもできず、研究室に行くのが怖くなってしまったんですよね。

ただ、大学院への行きづらさは、ひきこもりの最終的なトリガーでもあったのですが、そうなってしまう原因はもっと前から蓄積されていたように思います。

それは、「失敗に対する打たれ強さ」が無かったこと。自分で何かを意思決定して、おもいっきり顔面に岩が直撃するくらいの衝撃的な失敗ってのを全然経験してこなかったんですよね。

だから、あるときにそういうのを一回食らうと、それが致命傷になって立ち上がれなくなる。

もし、もっと前の時点で、そういう経験を何度も経験していれば、「あのときに比べればたいしたことないな」と思えるかもしれないけれど、当時の自分にはそういう余裕も引き出しもなかったんですよね。。。

よく、ひきこもりからの脱出には成功体験の蓄積が重要だ、と言われます。

もちろんそれもあるんですが、ひきこもりにならないためには何が必要か、というと、僕は失敗体験の蓄積だと思うんですよね。

色々な失敗をすることで、いま直面している失敗を相対化できることができる。

「あのときに比べればたいしたことないか・・・」と自分を納得させて何とか前に進むことができる。

失敗にはそういうメリットがあります。自分は大学院に戻ってからは、それまで自分が避けてきた「失敗」という経験を意識的に蓄積しようとしました。

具体的には、自分がやりたくないと忌避したり、やれるだろうか、と不安に思うことをあえてやり続ける、ってことだったんですけど

例えば・・・

就職活動では直感的に面倒だと思っても、好きな会社だろうが興味ない会社だろうがひたすら説明会に参加して話を聞く。

OBや社員訪問をして、これで十分聞いたからいいや、と自分で思った人数を越えて、これでもかというくらい話を聞いて回る。

そんなことやってちょっと必死過ぎない?恥ずかしくない?と思っていた終活対策の集まりやセミナーに通ってみる。

こんなことしてるともう毎日失敗の連続だし、恥ずかしい経験の上にさらに恥ずかしい経験を重ねるような毎日でしたが、結果的には通算3回の就職活動の中で一番手ごたえのある活動と結果だったかなと思います。

あと、大学・大学院時代を通じてほとんど参加しなかったいわゆる「合コン」に参加するとか。もう初回の時とかどんな感じだったか覚えてないですが、まあおぼこい感じだったと思います(赤面)。でも行く。

そしたら徐々にその場に慣れてきて、いつしか男性メンバーを揃える立場になって、合コン自体を企画する立場になることも増えて、なんだかそういう場を創るのが楽しくなってくる。

果ては100人くらいのイベントを企画して気の合う友人と開催してみたりと、予想しない方向に自分が成長していたりしました。

そうやって避けたい、恥ずかしいからやりたくない、と思っていたことをあえてやる、続けると、どうやら予期せぬいいことがあるわけですが、一方で着手した初期から中盤くらいまでは目も当てられないくらいの失敗をたくさん経験するわけです。

そこで失敗との付き合い方も何となくわかってくる。

個人的には「あのときに比べたらまだ楽」という失敗の相対化ができたのは大きかったですね。

仕事でいえば、大学院のひきこもり経験がボトムでしたし、

生命の危機でいえば、世界一周中にトルコのイスタンブールのぼったくり熟女バーでコーラ1杯7万円取られかけた上に、ファイナルファイトの中ボスのような容姿のスキンヘッドの巨漢に胸倉つかまれて空中浮遊した経験がボトムだし、

恋愛でいえば、自分のちゃちなプライドとコミュニケーション下手故にふられてしまったあの経験(この話はここでつまびらかにはできないっす・・・)だし

いろんなボトムラインができました。そういう底値の失敗があるから、自分をだましだまし再起できる。再起して心が正常ラインまで浮かび上がってきたら、多少はためてある成功体験を頼りにチャレンジしていける。

そういう意味で、私の中で、成功体験と失敗体験は、自分が生きていく上でそれぞれ違った役割を持っていて、どちらも大事な記憶なんですよね。

だから、人には成功体験だけでなく、失敗体験もたくさん積んでおいた方が良いって言います。茨城での話でも、それを何より伝えたかった。

何かにトライして100%成功することなんてまずない。失敗は必ずつきまとう。それに直面している時はつらいけど、だからといってそれを避けずにしっかり貯めていくと、中長期的に自分のタメになるから。

アンケートで自分の話を聞いて楽になった、という感想を書いてくれた方が何人もいたのですが、そういう方はきっと「成功の呪縛」に縛られているんだと思う。成功しなければいけない。成功する見込みがないならやってはいけない。そんな縛りを課していると、挑戦する機会が極度に減るんです。トライできなければ失敗ができない。失敗ができなければ過去の自分のように心の防御力が限りなく低い状態で社会に出ていくことになる。

だからなるべく早い段階からいろいろなことに挑戦して失敗するのがいいと思う。でも、経験はいつでも始められる。若いころにできなければ今からでもトライしてみたほうがいい。そして、恥ずかしいかもしれないけど、周りを頼ってほしいなと思う。若いころは周りにサポーターがいるのが当たり前の環境だったけど、社会的に成人というレッテル貼られたら、それが急になくなるんです。自分が声を挙げないとなかなか気づいてもらえない。

大人と言われる人に、一人として完璧な人なんていないのだから、持ちつ持たれつ、期待通りのサポートじゃなければ「まあしょうがないか」で次の人に頼るくらいでいいんじゃないでしょうか。

子ども・若者支援の仕事をしていて、10年前と今とでは、支援の手厚さは隔世の感があります。手厚さというのは支援の多様性が増したということです。

恋愛にも就職活動にも相性があるように、支援にも相性があると思う。だから、何かとつながってみてうまくいかないのなら、次を試してみてほしいなと思います。次を試すときに、最初のトライの失敗がきっと役に立つと思います。

周りに頼りながら、自分で意思決定して試してみて、その成功・失敗をベースにして、また頼りながらトライして・・・

そんなループを繰り返していけることが自立するってことなんじゃないかなと最近思います。

茨城県精神保健福祉センター ひきこもり講演会

本日は、茨城県精神保健福祉センターのお招きで定期的に開催されている「ひきこもり講演会」にお邪魔してきました。

精神保健福祉センターは、精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進を図るための機関という位置づけの機関です。

業務内容は
地域住民の精神的健康の保持増進、精神障害の予防、適切な精神医療の推進から、社会復帰の促進、自立と社会経済活動への参加の促進のための援助に至るまで、非常に広い範囲が規定されています。

厚労省のサイトをみると、全国47都道府県+政令指定都市に設置されている機関ですね。

子ども・若者支援領域では、ひきこもりに関する相談窓口を持ってるところもあれば、発達障害に関する相談を引き受けていたり、施設によって対応できる業務は異なる印象を持っています(違っていたらすいません)。

今日は、当時者やそのご家族も結構いらっしゃるということで、普段は支援という観点でお話することが多い内容を、過去に当事者であった経験を軸にしてお話させていただきました。

といっても10年くらい前のことですし、ひきこもっていた期間でいうと半年間という比較的短い期間だったので、来ていたただいた方に何か持ち帰ってもらえるような話ができるかなと不安でした。

案の定事後アンケートを見ると、「長期間ひきこもり状態にある人とはちょっと違うなと感じました」というコメントもいただいたりして、やっぱりそうだよね、と納得。ただ、そういった方であっても何かしら「ふーん」と思ってもらえたならいいかな、と思います。

ありがたいことに、話をさせてもらった後には何人もの方から質問をいただきました。こういう場で質問がないと、「内容全然刺さってなかったんじゃないか・・・」と不安になるので、これだけ質問いただけるのはすごく嬉しいですよね。

質問の内容でハッとさせられることも多く、今日も、心理カウンセラーの方から

「ひきこもりから回復しつつあるときの価値観と、ある程度回復してからの価値観が違うように感じるのですが、どうなんでしょう?」

という質問をいただいて、確かに、ひきこもり状態から回復に至る段階では、自分がうまくできたこと、成功体験にフォーカスしていたけれど

いったん軌道に戻ってからは失敗にフォーカスしていたな、ということと気づいたりしました。

やはり問いかけは重要ですね。自問自答も重要だけど、他の方からいただく問いかけは自分の脳内に考えていないだけにより考えさせられることが多いです。

講演後は、元ひきこもりで茨城引きこもり大学を立ち上げられた大谷さんと話して、起業がらみの話で盛り上がったりと、いろいろとつながりがありそうな気がする茨城県でした。

内角府「平成30年度 構成機関における相談業務に関する研修」に講師として参加してきました

7・8年前の前職時代は、この研修会に事務局として参加していて、会場の後ろの方に座っていたんですよね。それが前に座って50~60人くらいの方々を前にお話をさせていただける、なんだか不思議な感じです。

この研修、全国の子ども・若者支援に関わる相談機関の相談員さん向けに毎年行われるプログラム。3日連続で、私の担当は2日目の午後の4時間。

このコマ、(後ろで見ていたものとしての)経験上、最も困難なタイミングです。なんたって眠い。参加者初日の夜に懇親会で飲んでますからね。確実に睡眠不足です。

しかもさして広くない教室にパックされて二酸化炭素濃度高いなかで、午前中も4時間ばかし受講されているわけですから疲労もマックスでしょう。僕なら確実に集中力きれてますね。下手すればイライラしてるかもしれない。

ということで、軽く受けたんだけど、当日近くなるほど「これ、相当工夫しないとやばいな・・・」と頭を抱えました。

この悩んで資料をあーでもないこーでもないと編集する作業には、国のこの手の依頼にはフィーがつかないので、一秒でも早く仕上げる(下手すれば既存資料を使いまわす)のが大事なんですが、国の事業に最初に御呼ばれしたわけなので下手なこともできない。

それに何よりテーマが

「デザイン思考を活用したケース検討の実践」

なので、土台になるような資料がない。こういう掛け合わせで講演してるの聞いたことない。

実際開始直後に「デザイン思考という言葉を聞いたことある人?」と振ってみたら手が一本も上がらなかった。一本も!?こんな事初めて(笑)

ということで、いろいろ悩んだ挙句、普段2日か3日かけてやる内容を4時間に詰め込んだ200ページ弱の資料ができました(多っ)

まあ1ページ1ページの情報量は少ないのでこのボリュームなんですけどね。文字多いページはそれだけで眠くなるので(笑)

そして、当日、体調は若干悪い。というか良くない。風邪気味です。

本当はその日は一日ワークショップのことしか考えたくなかったんだけど、別件の資料レビューが入ったのでまずはそれを昼前に終えて、昼過ぎに会場のオリンピック記念センター(通称オリセン)へ。

昼についたので、体調も悪いことだし、近くのラーメン屋で「黒ゴマ担々麺」をリクエスト。これが当たった。振り返ってみると、あのタイミングでゴマがたっぷり入ったあの一杯をチョイスしたのが、その後何とか乗り切れた原因だったのかもしれないとすら思う。担々麺の辛さとゴマの成分(?)のおかげで身体がポカポカになり、いざ会場へ。

しかし代償も大きかった。

会場入りしたあたりから急激に腹部の情勢が不安定化。ここ数日の暴飲暴食に黒ゴマ担々麺がとどめを刺す形で、田中の腹部でかろうじて保たれていた均衡が崩れたのでした。

こんな空気読めないタイミングでの「開けゴマ」はいらない。そもそも開ける門間違ってる

おなかをさすりつつ、会場はまだ午前の部をやっていたので、控室に。今年から受託した企業の担当者がのんびりしてましたのでご挨拶。しばし資料を確認していると、会場が開いたとのことで下見に。

持ち込みPCが投映できるかを確認して、もう控室にいてもやることないので会場の演台で再び資料の確認。事務局の人が午後のシフトに会場をリセットし始めました。

しかし、どうもおかしい。4人グループでお願いしていたのに、机に置かれたグループの紙片の枚数見る限り、6人グループだ。確認したら「ほとんどが6人、2グループだけ5人」ということで、リクエストした内容にかすりもしない構成になってる。

アイスブレークとかインタビューとか4人で回す設定なので、時間配分がだいぶかわるんですけどー。。。

とか不安が頭をよぎる、間もなく、今度は卓上に配置されたポストイットに目がいく。

え、そのポストイット、なんで短冊状なの。

ふつう正方形のやつにするでしょ。。。

ちなみに正方形の在庫はないとの連れないお返事。不安が2連鎖。

そして事務局がセッティング終わった感じで隅っこに退散していくんですが、今度は机の配置がおかしい。

長机が整然と並んだ配置にしてくれてるんですが・・・

グループワークって連絡してますやん。

模造紙使いますやん。

明らかに長机一個ずつ配置してたらワークできないやん。

ということで、長机二つで1つの島をつくってもらうようにお願い。事前のフォームにそんなこと書くスペースはなかったので申し送り十分にできてないのも原因だけど、せめて事前に確認してくださいよー。ということで不安三連鎖。

急いで自分の資料を作り直して6人グループ仕様にして、事務局は机の再配置。

いやこれ、二時間前にきといて正解だったー(あぶねーx2)。

ワークショップ初めてやる会場では超前入りしたほうが絶対いいという先輩の教えに納得。

いろいろ終わって開始30分前、このころには参加者の方がちらほら着席を始めます。しかしこの間がなんとも嫌で。第一静かすぎる。こんな状態でワーク入ったらそりゃアイスブレークいるわ(でもそんな時間はない)。

ということで、スマホを取り出しおもむろにAmazonMusic起動。作業用ジャズのコンピレーションを流して、その音を据え付けマイクで拾って即席のBGMを流す。

するとあら不思議、押し黙っていた参加者の表情が急に緩んで周りの人と雑談したり名刺交換始めたりし始めましたよ。音楽の効果って偉大。

その後、参加者の方の中に北九州市の総合相談センター「YELL」の方がいらっしゃったので、ちょっと聞いたところ前日に懇親会的な飲み会もあったとのこと。ある程度関係ができているのと、各グループ内の雰囲気よさげなので、アイスブレークパートは思い切って丸々削除。結果的にはこれやってたら、いただいた時間を大幅にオーバーしてたので、ギリギリの判断が奏功。

ということで、不安は感じながらも、与えられた環境を当座のトライアル的な仕込みをいくつか投下してできる限り改良して、いざワークショップ開始。

のっけからデザイン思考認知率0%ってのには鼻白んだわけですが、その後は何とか進めることができました。

もうね始まったらやるしかない。目指せ一座建立。参加者の皆さんも何とかついてきてくれているご様子。時折笑顔が出たり、席から立ち上がったりとうれしいアクションも出てきたり。そういう能動的なアクションを見て、ひそかに精神力を奮い立たせる。

相談員の方々が比較的抵抗感なく参加してくれているのって、デザイン思考をしらなくても、現場で実はデザイン思考に近い考え方で支援のしてらっしゃるからだと思うんですよね。

たとえば、当事者を中心に据えて、そこから支援を考えていくのはユーザー中心の考え方に通じるところがあります。

また、他の専門家との協働を前提として支援を展開しているところなんかは、アイデア創発時の多様性を重視する考え方に重なる。

ただ、その過程に方法論としてのフレームがあるわけではない。無意識的にやっている。

無意識にやるのと、今そのアクションをなぜやっているのかを理解しながらやるのとでは、特に成果を出す前の効率性が異なってくる。

たくさんのケースを抱えて時間が不足しがちな現場にとって、フレームを実装して支援を行うことはとても重要なことだと思うのです。

あと、支援を組み立てるときに、どうしても地域のリソースがキャップになってしまうんですよね。現実的なソリューションを出すときに、地域資源の限界を意識して支援を組み立てることはもちろん重要なんですが、それだとずっと”地域にあるもの”だけでしか支援を組み立てられない。

今回はデザイン思考のアイデア創発フェーズで、いったんそのキャップをわきに置いて自由に発想してもらいました。

そうしたほうが、当時者ニーズに本当に必要なことを考えられるし、地域の未来を考えたときに必要なリソースも見えてくるからなんですよね。

今あるものを所与にしてしまうと、できることはずっと変わらない。

でも、足りないものが見えてくれば、それを埋めよう、組み合わせて創り出そうという機運が生まれてくるかもしれない。

そんなことをこのテーマでやろうと思ったときに考えたんだった・・・と、頭の片隅で思いながら進めていきます。

さすがに後半は参加者の疲労の色も濃くなってきたので、

休憩時間を想定よりも多めにとったり、休憩から戻ってきた直後にストレッチしてもらったり、戦術的な手練手管を使って何とか参加者のテンションを維持。4時間で寝る暇を与えず、普段とは異なる脳みその部位を使ってもらったので、終了時の参加者のクタクタ感は半端ない感じでした。何人か目の下にクマできてるな・・・

終了後には多くの方と意見交換する機会をいただき、デザイン思考を使ったケース検討の可能性について理解できた気がする、とフィードバックをもらえたのはありがたかったですね。

事前準備と即興的な対応で何とかしのいだ4時間。帰宅後に夕食を食べて、気絶するように寝ました(笑)

子ども若者支援地域協議会立ち上げのポイント~愛知県豊橋市の事例から~

先日愛知県の研修会のお招きで、同県豊橋市の子ども・若者支援地域協議会の立ち上げに携わっていた松井清和さんとお話する機会をいただきました。

松井さんは現在豊橋市総務部情報企画課でお勤めですが、H22年からH25 年まで、教育委員会教育部青少年課に続き生涯学習課で子ども・若者政策を担当されていらっしゃいました。

松井さんとは、子ども・若者支援の取り組みが全国的に始まったころからのお付き合いで、かれこれ8年ほどになるでしょうか。

いろいろな地域の協議会で顔を合わせたり、協議会の立ち上げや運営に携わられた方のOB会的な組織を一緒に主宰させていただいたりと、非常にお世話になっている方なのですが、実はいままでちゃんと豊橋市の協議会の設立経緯について突っ込んでお話をしことがなく、自分にとっても非常に学びのある機会となりました。

今回は、松井さんの話から見えてきた豊橋市の協議会設置の4つのポイントについてご紹介していきたいと思います。

将来の政策動向を見据えての前身組織の設置

豊橋市の子ども・若者支援地域協議会の設置は平成22年度なのですが、実は豊橋市ではその前年に「豊橋市若者自立支援ネットワーク協議会」を設置しています。

このネットワーク協議会は、同年5月に設置された「とよはし若者サポートステーション」の設置と同時期に設置されており、当初から「相談窓口と支援の場としてのサポステ、実務者の連携促進の場としてのネットワーク協議会」という構造ができていて、いきなりこの体制を構築するのはすごいな…と思って質問したところ、前任者の方が、子ども・若者政策の今後の動向についての情報をどこからか入手されたという話でした。

豊橋市にはよほど優秀な諜報機関かスパイマスターでもいるんでしょうかね(笑) というほどのことでもないですが、自分の地域の中の情報だけでなく、もすこし広い範囲での政策的なベクトルを把握しておくと、少しずつ準備を進められるというメリットがあるようです。

協議会のポジショニング

豊橋市の協議会は「困難を抱える高校生支援(不登校・中退対策)に注力しよう」ということで、協議会の活動のフォーカスポイントを定めていたそうです。

もちろん、高校生だけの相談にしか乗らないというわけではなく、他の年代にも対応するのですが、設置当初、高校中退者の割合が全国平均よりも高いという問題に直面しており、それを解消するというのが大きな課題だったという背景があります。

実際、その研修会の参加者の反応も見たんですが、高校中退後に困難に直面している人をサポートできるリソースって地域にはあんまりないんですよね。

逆にいうと、中学校までは教育委員会、大人になってからの問題はハローワークやサポステ、福祉部門がカバーしていて、無理してそこまで子若協議会でカバーする必要がないともいえるわけです。

そのような状況下で、協議会の論点を絞り込むのは、参加者にとっての参加目的が明確化されたり、他の協議会との重複を無くせたりといったメリットが期待できるそうです。

「とにかく設置しよう」ではなく、地域の実情と提供サービスを鑑みて、どこに注力するのかを考えて協議会をデザインすることが重要なのではないでしょうか。

安定的かつ効率的な運営のための仕組みづくり

協議会を運営している地域でよく聞かれるのは「協議会がマンネリ化してしまって、何を話せばよいかわからない」というご意見。

個人的には、「問題が解消しないかぎり(地域内の困難を抱える子ども・若者がいなくならない限り)」話すことは尽きないはずだと思うんですけどね。。。

豊橋市の場合は、会議の形式をいわゆる「ロの字型のよくある会議」ではなくワークショップ形式にすることで、参加者からの意見を引き出すような工夫をしているとのこと。

年に1回開催の豊橋市の名物イベント「子ども・若者フォーラム」は、盛況時には約60の機関から約80名が参加するそうです。

会議であれ、イベントであれ、活発にするために重要なのは「コンテンツ」と「集客」だと個人的には思います。人が集まらない、活性化しないという嘆きが出てくる地域は、だいたいこのどちらか(あるいは両方)がうまくいっていないことが多い気がします。

子ども・若者に関わる問題意識は多くの個人・組織が持っていらっしゃいます。

その人たちが不満なのであればそれはコンテンツが参加者にとって新奇性が低かったり価値が無いということ。

欠席が多いということであればそれに加えて広報や周知不足。

豊橋市の場合は松井さんはじめ、ご担当者の方がいろいろな地域の事例を足をつかって仕入れ、盛り上がるための仕掛けを考え、いろいろなルートをつかって参加を要請している賜物なんですよね。

当事者目線(UX)を重視したサービス設計

豊橋市の取り組みの節々には、当時者の立場にたったサービス設計の視点が感じられます。

様々な事情で全日制高校に通えない高校生が困っているという気づきをから通信制高校の合同説明会を開催したり、それまで豊橋駅から車で15分のところにあった相談センターを駅歩10分のところに移したりといったそれぞれの取り組みの根底には、利用者にとってのユーザビリティを高めるという姿勢があります。

個人的に興味深かったのは、総合相談窓口を直営から社会福祉法人に移管したことで、行政直営ではなかなか難しい土休日や夜間の運営がこの措置によって可能になった結果、平日の日中に相談に来れない学生や保護者の利用のハードルがぐっと下がったという話でした。

これらの取り組みは、協議会が高校生(とその保護者)を主軸にした結果、サービスの利用者の解像度が高まり、ユーザビリティが高めることに成功した例と言えるかもしれません。

新規事業開発の観点ではよく「UX(=User Experience、利用者体験)」の重要性が指摘されます。UXを起点にしたサービス開発こそが、利用者に支持され続けるためには重要であるという考え方ですが、豊橋市の取り組みはまさにこの考えの中で実行されているような気がします。

 

豊橋市の取り組みはその他にも、地域間連携など、特徴的な取り組みがたくさんあったのですが、二時間という尺の中ではとてもすべてを拾いきれませんでした。たぶん6時間くらいあっても足りないと思う(笑)

松井さんとは今後もちょくちょく会うので、折に触れて研修会では触れられなかった部分についてもうちょっと突っ込んだお話を聞きたいな~と思いました。

愛知県SVその2

北九州市への出張、国立市での講演+ワークショップに引き続き、8月最終日、愛知県に出張です。

今年度は愛知県から依頼をいただいて、子ども・若者問題についての理解向上や、子ども・若者支援地域協議会の設置促進をお手伝いするSuperViseの仕事しています。

本日はその一環で、主に協議会未設置の地域向けの研修会のサポートするお仕事。

岡崎市にある愛知県西三河総合庁舎へお邪魔して、メインの講演者であるNPO法人いまからの仲田代表理事の後を引き継いでコーディネーター的に場を切り盛りしてきました。

ともすれば現場で当事者やそのご家族を支援しているNPOと、事務局的な立ち回りが多い担当課とでは、見ている景色が違うので、うまくいえば双方の視点が提供されて建設的な場になるのですが、なかなかどうしてそうはいかないのが人の情というもの。

そういうときにコーディネーター的な立場で議論を良い方向にもっていく存在が大事になってきます。

愛知県の担当の方と、今年度の活動内容を考えるときに、単純にNPOの方に来ていただくよりも、その話の内容を自治体の方向けに解釈したり、相互理解を深めるために自分を活用してはどうかと提案して、それをお聞き入れいただいたので、責任はかなり重大。結構緊張してました。

が、結果的には場は荒れることなく、今回の目的である、支援対象である当事者の実情を知るという点については、参加者の皆さんに満足行ける内容で進行ができたように思います。

当事者を支援するとき、当事者が気持ちよくジョインできる「場」を創ることは非常に重要ですが、支援者同士が進化していくためにも重要だったりします。

愛知県の研修会は、設置済み地域向けと未設置地域向けにそれぞれサポートメニューが用意されており、今年度はあと4~5回くらいお手伝いするわけですが、今回のような場をまた創っていきたいなと思う次第です。

「国立市子ども・若者の自立を支える連続セミナー」に参加してきました

月1回、全3回の連続講座の1回目で講演プラスワークショップをしてきました。

テーマは

「多様な支え手が繋ぐひきこもり支援の可能性」

ということで、行政や民間、市民の方それぞれの立場でできる支援って何なのか、ということを一緒に考えられる場を創ることを目標にお手伝いしてきました。

市のご担当の皆様がこれまた良いチームでよい雰囲気の中で終えられたのはとてもよかったです。子ども家庭部・児童青少年課の皆様お世話になりました!

国分寺市で支援ネットワークの重要性についてお話してきました。

今日は国分寺市の若者支援地域ネットワーク会議で講演でした。

そもそもなんで若者支援が必要なのか
放置することにより地域にどれだけの負のインパクトがあるのか
横断的なネットワークを作ることで庁内業務にどのようなシナジーが生まれるのか
といったことを紹介してきました

これまでお世話になった地域の取り組みを他の地域に広めることで、
その地域がより効率的に、より効果的な支援ネットワークを構築できるチャンスが広がります

そうすることで、1人でも多くの当事者が苦境から飛び上がり、自分のやりたいことに邁進できるよう社会ができればいいな


複業の1つの面、育て上げネットのメンバーとして、そんな社会にするためのお手伝いを、ささやかーに、しております。