今年度初出張:岡山県井原市での講演を終えて

2020年度はコロナで始まり、コロナで終わるのだろうか。

自粛が解除されたら、まあ来るだろうなと言われていた第2波の前兆が表れ始めており、東京は再び自粛要請が出るのかどうか、というハナシもちらほら。

個人的には、コロナ前から自宅で仕事をする時間が増えており、それほど違和感なくワークシフトが完了しているわけですが、とはいえ、講演やワークショップをオンラインでOKと言ってくれる自治体もまだまだ少ないわけで、今回のように対策を重ねつつ現地にお伺いするということもあるわけです。

とはいえ、今回が2020年度初出張。

お声がけいただいたのは、岡山県井原市。

岡山県と広島県の境目に位置する人口約4万人ほどの自治体です。

昨年度、県下の設置済みの自治体の意見交換の会議が開かれた際、私が講演とファシリテーションでお招きいただき、その場にオブザーブ参加していた井原市の青少年センターの担当者の方から講演の依頼をいただいたという経緯。

岡山県下の自治体における子ども・若者支援地域協議会は、最初期から取り組んでいる勝央町のほか、玉野市、津山市などが設置している状況です。

岡山県の担当は県民生活部男女共同参画青少年課で、ここ数年、県下の自治体の取り組みを強力にサポートしていることもあり、ようやく少しずつですが、市町村レベルでの取り組みの必要性が認識され始めたところ、という感じです。

コロナのこともあるため、当初3時間で講演+ワークショップという予定だったのを、講演のみに切りかえ、若者問題の変容と、それを受けて支援体制をどのように再構築していくべきか、というハナシをさせていただきました。

事前のやり取りで、井原市の子ども・若者支援の取組は社会福祉協議会を核に、各支援者が既にある程度連携して進めているという話も聞いていましたが、実際に講演で各機関の連携が必要、というクダリを説明した時にも、聞き手に「ええー」みたいな違和感はなく、やはり既に連携実績があるところなので受け入れられやすい趣旨なのかもしれない、と感じました。

井原市のように比較的人口規模の小さい自治体の方が、関係機関同士の距離感も近く、連携しやすい、という背景もあるのかもしれません。

勝央町のように、息の長いお手伝いをさせていただければ。

次回は特産品のデニム商品を買い込みたいところでもあります。

子ども・若者育成支援法施行までのリアルを法案作った人に聞いてきたハナシ

2月13日に内閣府で「青少年問題調査研究会」という集まりがありまして。

だいたい年に1回開かれるごくごく小規模な勉強会で、開催の告知も内閣府の共生社会グループが出してるメルマガに登録してないとほぼ十中八九見逃すというレアな会議なんですが、その小規模さゆえに選ばれるテーマはなかなかいぶし銀、渋い。

今回のテーマは「子ども・若者育成支援推進法の回顧」ということで、現在は静岡県掛川市の副市長で、当時内閣府参事官補佐だった久保田崇さんが講演するという立て付け。

渋い、渋すぎる。日々、国内各地の自治体の子若協議会設置のやり取りをしているような自分くらいしか聞きにいかないんじゃないかと心配になって、子どものアレルギー負荷検査の終盤を実母にバトンタッチしていってみたら、30人くらいいた。人知れず仲間意識を持ちました。

さて、話は久保田さんが内閣府参事官補佐だった時に遡って始まりました(というか、ちょっと遅刻していった私が聞き始めたのがそこから。うそつきましたすいません)
その時というのは、自民党から民主党に政権が移る直前だった麻生内閣時代。

で、その麻生内閣の麻生総理が、所信表明演説の中でこういたそうです。

「困っている若者の自立を促し、手を差し伸べます。そのための、若者を支援する新法も検討します

それを聞いた久保田参事官補佐は心の底で直感したそうです

「あ、やべーな(ニュアンスは田中訳)」

これは法案作成を担当する官僚の方が感じる独自のものだそうですが、今回もその直感は見事に当たり、所信表明演説が行われたのが2008年9月で、法案が国会に提出されたのが2009年3月という法案提出まで半年というごく短期での作成となり、久保田さん含む内閣府の策定チームは、この半年間ほぼ寝ないで法案を練られたそうです。

それにしても、議員は法律をつくる、このことはいつか学校で習った覚えはあるんですよ。

でも、こういう話を官僚の方から聞くと、やっぱ国会議員すげえな!って思うんですよね。

なぜって、まあ事前に色々調整や検討はしたにせよ、言ったことが一国のルールになるんですから。
まじやばくね。そういう人選ぶ選挙って、やっぱ大事じゃね?チョリーッスって、自分思うわけっす。

ちなみに法案提出時の法律名は

「青少年総合対策推進法」

うーん、ええっと
ネーミングの第一印象はパッとしませんね。
ごめんなさい久保田さん。
でもなんか、わかったような感じはするけどその実何かよくわかんないです。
とりあえず試験には出そうな感じはする。

と、一般人からするとそういう感想を持つのですが、当時は「若者」というワードを冠した法案が存在しなかったので、法制局との調整が非常に困難であり、「青少年」という表現に落ち着いたという背景があったそうです。

これまで使ったことがないから使わない、という理由自体が、わかるようなわからないような感じもしますが、ちゃんと考えがあったということはわかった。

おそらく同様な背景で、「総合対策」というわかるようなわからないような言葉がVer.1で出力されたんだと思います。

(↑ここんとこ、ちょっと茶化す調で書いてますが、実際にはそれぞれの組織の経験に培われた不文律みたいなのがあり、それらのルールを紐解けばそれなりの理由があると思うので、「なるほどなー、そういう理由で判断するからにはきっと法制局なりの論理があるんだろうな」と思っています。)

ともかくもそういった調整を経て提出された法案が、次に通るのは、与野党間の修正協議というトコロ。

へえ、与党がやるといった法案ってちゃんと野党がつっつく余地があるんだ、と、これまた新鮮な驚き。
なんかそれなりにフェアじゃん。日本の立法府。

で、その協議の結果、決まった法案名が

「子ども・若者育成支援推進法」

子ども」ってついてるやないかーい!

と、心の中で久保田さんに突っ込んだのは内緒。

とまあ、法案ができるまでの中で、自分達が普段知ることがないような紆余曲折や調整があるということが知れたのは一つの学びでありました。

徳島市にて。

さる28日の悪天候下に羽田を発ち、県のSVを拝命している徳島県へ向かいました。

去年の今頃も同じように徳島県にお邪魔した、いや、正確にはお邪魔しようとして、徳島空港上空で着陸を断念して羽田に引き返すという経験をしたので、今回も揺れに揺れ、さらには空港上空で着陸しようとした飛行機がいったん高度を取ったときには、当時のいやーな感じがフラッシュバックしましたが、今回は何とか到着。

ANAの皆様どうもありがとう!

揺れで若干気分悪くもなりつつも、社会人時代の友人が徳島で働いているので徳島駅前で軽く夕食を食べて、早めに就寝。

翌28日は朝イチで、徳島市長選に立候補を表明した内藤佐和子さんとモーニングをぱくつきつつ、子ども・若者政策についてディスカッション。

彼女とは10年くらい前に何かのきっかけで知り合い、その後しばらくやり取りが絶えてたんですが、私が徳島に来るようになってからはたまにやりとりする感じで子ども若者支援について意見交換をしています。

徳島市長選は4月。昨年の阿波踊り騒動とかもありましたが、個人的には、徳島市の未来を担う子ども・若者への取組に注力していきたいという彼女を応援したいところです。徳島市民じゃないので投票権はないけど、何かしら自分の経験やネットワークが活きればと思う。

午後は県主催の子ども・若者支援者養成講習会にコーディネーターとして参加。

先月は札幌市の松田さんで、今回は北九州市子ども・若者応援センター「YELL」の村上所長とご一緒させていただきました。

もうすぐ設立されて10年というYELLですが、この10年間を活性化レベルを髙い水準に保ったままやってこれているのが本当にすごい。

というのも、子ども・若者支援地域協議会の運営ってのが、実は結構大変なんです。

多くの地域が意欲高く立ち上げても、その後担当者の異動やらなんやらで当初の熱を維持するのが難しく、いつの間にか形骸化してしまうところも少なくない中で、様々な支援機関のハブとなって求心力を保っているYELLと北九州市の協議会は特筆に値すると思います。

初期メンバーの熱意と、それを受け継いでいる2代目センター長の村上さんとスタッフの方々の活動には頭が下がる、一方で超たくさん参考になる事例があるので、頭を上げてちゃんと聞きたいという、頭が上下するようなお話でした。

中盤に軽くYELLの取組を開設する対談セッションをして、その後は参加者同士の関係構築を目的としたワークショップ。

出張したらこのくらいの密度で現地の方々とコミュニケーションできると良いなと思います。結構タフですが(笑)

今年度の徳島県でのお仕事はこれで終了!来年度もまた何かお手伝いできることを願いつつ、飛行機に揺られながら帰途につきました(はい、帰りもまた揺れました)

ファシリテーションとさんまさん

今日は10時から愛知県あま市・大治町が合同で設置した子ども・若者支援地域協議会の実務者会議に出席してきました。

あま市・大治町は名古屋市の郊外に位置しており、伺った印象だと、名古屋市のベッドタウンのひとつといった感じ。
初めてお招きいただいたときは、最寄り駅にコーヒー飲みながら時間潰せる店の1つくらいはあるだろうと思いきや、全くなくて途方に暮れた記憶があります。

全国でも、複数の市町村が合同で子若協議会を運営する事例は多くありません。
具体的な場所で言えば、徳島県板野東部(松茂町・北島町)と豊橋市を中心とした東三河エリアの広域連携ぐらいでしょうか。

が市町村という枠組みで整理されているということから、実務的にいろいろと大変なのが多いのですが、特に小規模自治体からのニーズは強い形態ではあります。

今日はそんな2市町の実務者会議(4回目)にコーディネーターとして出席してきました。
年度最後の会議ということで、今年度の総括と、来年度の体制に関する情報共有がメインのアジェンダでした。

よく最終回の会議に出席すると、振り返りという名のもとに、今年度実施した内容をただ列挙して、来年いつぐらいに会議をします、ぐらいの粒度の報告で終わることが多いのですが、正直そのレベルの会議するなら資料添付して関係者にメール送信でもいいと思うんですよね。
わざわざ社用車で往復の時間かけて参加するようなものじゃないと思います。

今年の振り返りは何のためにやるのかと言えば、来年度の運営を今年度より少しでも実りあるものにするためにやるわけです。
その目的に対して、、ただただ実施した事を読み上げていくという手段がフィットしているかと考えると、全くそんなことはないですよね。

参加している人は絶対に何かしらの感想や意見を持っています(言語化していないかもしれないし、過去の記憶なので風化しているかもしれませんが)。
それを会議の場に引き出してあげるのが初手、それを来年度の検討課題として受け止めるのが次の手、来年度冒頭で対応方針を示してようやく目的に対する方法として位置づけることができるのではないでしょうか。

来年度の実施内容についても、「●月に代表者会議、◎月に実務者会議」と紹介してもあまり意味がありません。
参加者に参加日程を確保してほしいなら日時までもう決めてしまった方がよいですよね。
コンテンツを詰め切れていないのであれば、参加者からアイデアを募ったっていいのです。

だって協議会じゃないですか。報告で終始するような場は協議会とは言わないと私は思います。

ということで、全体の報告については大治町の事務局の方にお願いし、今日の私はもっぱら議題事に割って入って参加者から意見を募るという役回りでお手伝いしました。

実際に話をうかがっていくと、現場経験豊富な方々から実務的なご意見や改善提案がたくさん上がってきてとても建設的な場になりました。

支援機関マップや、相談内容を記録する相談簿の記載項目や支援機関の間で共有する方法、同意書の内容についてより分かりやすく対象者に説明するための工夫など、あま市大治町以外の自治体でも使えそうな知見があったので、またの機会にご紹介したいと思います。

会議後に、大治町の担当者の方が、「自分達だけでつくるよりも、よほど参考になる意見がたくさんあって驚いた」と仰ってました。
これはお互い様で、お互いに専門性のあるところとわからないところを持っているので、それを補い合うのが協議会という場所なので、全く気にする必要は無いと思います。

足りないところをちゃんと開示して、他の支援機関の知恵と経験でもって補完していく。そうしていく中で、地域の支援を厚くしていくことが大事なのではないでしょうか。

今年度の愛知での仕事は今日で終了。今年度も20回くらい来ている気がします。お世話になりました!

勝央町にて。

今日は岡山県北部の人口11,000人の町、勝央町での今年度最後の会議でした。

勝央町は子ども・若者支援の取組にかなり初期から取り組んでいる地域です。
多くの地域が、支援の仕組みを立ち上げたものの、その後失速していく中で、勝央町は、様々な試行錯誤を重ねながらも、その経験をベースに地域独自の取組を創り上げてきた、非常にレアな地域でもあります。

その背景には、悩みを抱えてやってきた若者を応援するために、やれることはやる、今やれないことであってもやれるようにする、という粘り強く適応的なスタイルがあります。

多くの地域が
「予算がないから」
「人がいないから」
「やったことないから」
という色々な理由でやってこなかった取組を、工夫して、毎年少しずつ増やしていった勝央町。

今日の振り返りでは、それらの取組がうまくかみ合って、応援していた人たちが、彼らのペースで歩んでいくお話をたくさん聞くことができました。
(ここだけの話、お話をうかがいながら目頭が熱くなることが何度かありました)

目の前にいるその人にフォーカスし、彼らが本当に求めているものを提供する。その試行錯誤の過程で得られた学びを次の活動に反映していく。

領域は違えど、そこには社会に新しい価値をもたらすために必要な活動があります。
その活動は、世界を変えないかもしれないけれど、ひとりの若者にとっての世界が変わるための活動にも素晴らしい価値があるのだと個人的には思います。

そういう活動が岡山県の勝央町という場所で起きているのがとても興味深く、また、そういう活動に長く関わらせてもらっていることが非常にありがたくもあります。

支援は重く、会議は軽く

愛知県あま市・大治町の子ども・若者支援地域協議会の実務者会議にお招きいただき、お邪魔してきました。

あま市と大治町は名古屋市の西側にある自治体で、人口あわせて12万人くらいのエリアです。名古屋市街まで電車で10分(電車を使う人あまりいないらしいですが)程度ということもあり、住宅地の広がるベッドタウンという印象です。

あま市はもともとは甚目寺町、美和町、七宝町の3つの町だったのが、2010年に合併して市になったところだそうです。最後ということもあり、合併してからまだ10年経ってない。

大治町はあま市と地理的にもこれまでの経緯としても非常に近い位置にあったわけですが、名古屋市とも隣接しているということで、どちらと合併するか駆け引きがあったようです。で、今のところは町として残っているという状況のようです。

政治的な力学はどうあれ、二つの市町に住んでいる方同士、関係は当然深いと思うんですよね。

とくに、子ども・若者に関することでいえば、大治町には小学校・中学校はあるけれど、高校はないんですよね。一方のあま市には公立の高校が2校ある。

だから、大治町に住んでいる高校生があま市の高校に通うことだってあるわけです。で、その高校生が不登校状態になってしまったときに、市町が違うから情報共有や支援のアクションができないことも起こりうる。市町が異なるから、情報の共有が進まないのは、支援する際の大きな機会損失になりえるんですよね。

そういうことで、あま市・大治町は2市町合同での協議会を設置することを決めています。広域連合による協議会の運営の事例はまだまだ一握りですが、小さな自治体が集まっているような場合には、このような形態での運営が現実的なのではないかな、と思います。

協議会の構造は代表者会議と実務者会議の2層構造で、実務者会議は年4回実施することを想定しています。本年度は協議会の立ち上げが下期だったこともあり、代表者会議1回、実務者会議2回の開催を想定しているとのことでした。

今回は、その実務者会議の1回目ということで、参加機関の自己紹介と役割の理解、というのが目的でした。

会場には30人ほどの参加者がいらっしゃってましたが、参画機関のラインナップとして、近隣市町村のNPOやサポステの運営団体といった、あま市・大治町以外のエリアの民間の支援団体も参加しているのが特徴です

協議会のメンバーを、市町村の中の支援団体だけで統一する必要は実はありません。必要な機能を持った参画機関が近隣エリアで活動しているのであれば、そういった機関と連携することに、特に問題はありません。重要なのは、協議会がやろうとしていることに対する共感性があるかどうか、というところだと思います。

そんなメンバーの皆様の多くが自己紹介の中で、他の支援機関がどのような活動をしているのか興味がある、繋がれるところがあればつながっていきたい、相談したい、と連携に前向きな姿勢を持っていらっしゃったのが印象的でした。

比較的自己紹介で皆さんしっかり情報発信をされていたので、支援内容について共有することを目的としたワークショップを急遽、「今後やってみたいこと、自分のところだけではやれないこと」に変えてグループワークをすることにしました。

各グループのディスカッション内容を聞いていると、年齢による支援の切れ目というものが各機関で課題として認識されているようでした。

小学校に入るまで(~6歳)、義務教育まで(~15歳)といったところで、行政のできる/できないは明確に分かれてしまいます。

ここからはうちでは担当できないので、と手を放してしまえば当事者は途方に暮れるしかない。

そのようなときに、支援機関同士、活動に”重なり”を持っていければよいのではないか、という建設的な意見も出てきて、会は良い雰囲気の中で無事に終了しました。

大治町の担当者の方が、「支援は重く、会議は軽くやりたい」ということを最後におっしゃっていました。

現場で支援をされている方も、いろいろな苦労や困難に直面している中で、協議会がそういった悩みを共有したり一緒に考えられる場になればいいのではないか。前向きに新しい取り組みに挑戦できるような雰囲気の会議にしていきたいんです、という意見でした。

かたちにこだわって、予定調和な議題をこなすような会議は、参加者にとって気が重いものです。そのような要素はなくして、本当に参加者のためになるようなコンテンツを議題にすることが協議会を中長期的に運営していくときの大事なポイントだと私も思います。

あま市・大治町の協議会はまだまだ立ち上げたばかりですが、まずは良いスタートを切ったのではないかなと思います。

茨城県精神保健福祉センター ひきこもり講演会

本日は、茨城県精神保健福祉センターのお招きで定期的に開催されている「ひきこもり講演会」にお邪魔してきました。

精神保健福祉センターは、精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進を図るための機関という位置づけの機関です。

業務内容は
地域住民の精神的健康の保持増進、精神障害の予防、適切な精神医療の推進から、社会復帰の促進、自立と社会経済活動への参加の促進のための援助に至るまで、非常に広い範囲が規定されています。

厚労省のサイトをみると、全国47都道府県+政令指定都市に設置されている機関ですね。

子ども・若者支援領域では、ひきこもりに関する相談窓口を持ってるところもあれば、発達障害に関する相談を引き受けていたり、施設によって対応できる業務は異なる印象を持っています(違っていたらすいません)。

今日は、当時者やそのご家族も結構いらっしゃるということで、普段は支援という観点でお話することが多い内容を、過去に当事者であった経験を軸にしてお話させていただきました。

といっても10年くらい前のことですし、ひきこもっていた期間でいうと半年間という比較的短い期間だったので、来ていたただいた方に何か持ち帰ってもらえるような話ができるかなと不安でした。

案の定事後アンケートを見ると、「長期間ひきこもり状態にある人とはちょっと違うなと感じました」というコメントもいただいたりして、やっぱりそうだよね、と納得。ただ、そういった方であっても何かしら「ふーん」と思ってもらえたならいいかな、と思います。

ありがたいことに、話をさせてもらった後には何人もの方から質問をいただきました。こういう場で質問がないと、「内容全然刺さってなかったんじゃないか・・・」と不安になるので、これだけ質問いただけるのはすごく嬉しいですよね。

質問の内容でハッとさせられることも多く、今日も、心理カウンセラーの方から

「ひきこもりから回復しつつあるときの価値観と、ある程度回復してからの価値観が違うように感じるのですが、どうなんでしょう?」

という質問をいただいて、確かに、ひきこもり状態から回復に至る段階では、自分がうまくできたこと、成功体験にフォーカスしていたけれど

いったん軌道に戻ってからは失敗にフォーカスしていたな、ということと気づいたりしました。

やはり問いかけは重要ですね。自問自答も重要だけど、他の方からいただく問いかけは自分の脳内に考えていないだけにより考えさせられることが多いです。

講演後は、元ひきこもりで茨城引きこもり大学を立ち上げられた大谷さんと話して、起業がらみの話で盛り上がったりと、いろいろとつながりがありそうな気がする茨城県でした。

「マイナスからゼロへの支援」と「ゼロからプラスへの支援」

今年は愛知県、徳島県に加え、岡山県のSVを拝命している田中です。本日は岡山県下の市町村の担当者の方々向けに、子ども若者支援地域協議会の説明をするということで、県北地域の中核地域である津山市にお邪魔してきました。

二か月くらい前に津山市の隣の勝央町に同じくSVとしてお邪魔したときは、横浜から津山まで深夜バスを使って早朝6時に到着するという、前入りするにも程があるだろ!という時間に来たのですが、今回は都合が合わず、飛行機で岡山県入り。

とはいえ、10時には津山市に到着し、午前中いっぱい津山城に登城して本丸曲輪で一人PCを開いて仕事をしたり、観光センターのレンタサイクルを借りてB級グルメで有名な橋野食堂でホルモン焼うどんを食べたりしてから会場にレンタサイクルでそのまま乗り付けてるという、もう県北エリア10回以上来てるので滞在の仕方も徐々にこなれてきた感じがします(笑)

今日の会の出席者は、県の担当者の方々、県北エリアの自治体の方々の他、内閣府の担当の方と、臨床心理士で内閣府の委員もお勤めの「コラボオフィス目黒」の植山先生主宰もご参加いただいての豪華なラインナップ。

内閣府からは政策的な動向とマクロ情報の提供、私からは各地の協議会の設置・運営状況のご紹介と設置のポイントの解説をしたうえで、植山先生からはモデルケースを利用したケース検討の練習を

県北地域では唯一協議会を設置している勝央町をはじめ、皆さん自地域で同様の相談があった場合にどのように対応していくかをご検討されていました。

検討された内容の発言を聞いていると、協議会を設置していない地域と設置済みの地域・民間組織(NPOやボランティア組織)とでケース検討のアプローチの仕方が異なっているようだったのが印象的でした。

未設置地域ではどちらかというと、「当事者の何が問題なのか」という点から支援を組み立てようとしているのに対して、設置済みの地域やNPOは「当事者あるいはその親の目指すゴールはどこにあるのか」ということにフォーカスしていました。

もっとも、この指摘の違いは、設置・未設置の違いというよりは、参加された方の所属によるのかもしれません。今回でいえば、どちらかというと福祉系の支援員の方が前者的な目線で、相談センターの相談員の方やNPOの方は後者という分けの方がしっくりくるような気もします。

私自身は、よく

当時者が抱えている問題を特定して、それを解消するような支援を「マイナスからゼロに引っ張り上げていく支援」

「自分なりの自立に向けてのゴール設定ができて、それに向かっていく過程をサポートするような支援は「ゼロからプラスにもっていく支援」

と表現しています。

この二つの支援はどちらがベターか、という話ではなく、どちらの視点も重要ということなのは言うまでもありません。

難しいのは、両タイプの支援をケースに応じてどのように配列させていくのがいいのか、というところにあると思っています。

ケースによっては、最初にどうありたいか、というところを一緒に描いて、それに向かって目下の問題をクリアしていくというアプローチがよいのかもしれない。

また別のケースでは、まずは抱えている問題をじっくり解きほぐしてあげるのがよいのかもしれない。

ケースによって「ー→0」「0→+」の支援をどのタイミングでどのように示していくのかベターかという判断は異なります。それを考えるのが総合相談センターであり、協議会の検討の場でもあります。

また、そういった柔軟な支援を構築するためには、地域における支援リソースが多様であること、相互につながりうるだけの関係ができていることが重要ということもいえると思います。

ケース検討の最後に、勝央町で長年相談窓口の相談員をやられている方が、支援のスタンスについて

「焦らずに、長期的な対応をひとつところで抱えるのではなく、たくさんの関係機関が一緒に支援について考えていくことが重要」

と仰っておられましたが、現場のご経験としても、様々な機関があることで示せる支援の可能性の広さを意識されてのご発言だったのではないかと思うわけです。

地域において

「-→0」「0→+」の支援を担保できていること

両タイプの支援の多様はどのくらいか

支援リソース同士のつながりはどうか

そういった視点を持っておくことが、地域で支援できることを考えていく上で重要なのではないでしょうか。

子ども若者支援地域協議会立ち上げのポイント~愛知県豊橋市の事例から~

先日愛知県の研修会のお招きで、同県豊橋市の子ども・若者支援地域協議会の立ち上げに携わっていた松井清和さんとお話する機会をいただきました。

松井さんは現在豊橋市総務部情報企画課でお勤めですが、H22年からH25 年まで、教育委員会教育部青少年課に続き生涯学習課で子ども・若者政策を担当されていらっしゃいました。

松井さんとは、子ども・若者支援の取り組みが全国的に始まったころからのお付き合いで、かれこれ8年ほどになるでしょうか。

いろいろな地域の協議会で顔を合わせたり、協議会の立ち上げや運営に携わられた方のOB会的な組織を一緒に主宰させていただいたりと、非常にお世話になっている方なのですが、実はいままでちゃんと豊橋市の協議会の設立経緯について突っ込んでお話をしことがなく、自分にとっても非常に学びのある機会となりました。

今回は、松井さんの話から見えてきた豊橋市の協議会設置の4つのポイントについてご紹介していきたいと思います。

将来の政策動向を見据えての前身組織の設置

豊橋市の子ども・若者支援地域協議会の設置は平成22年度なのですが、実は豊橋市ではその前年に「豊橋市若者自立支援ネットワーク協議会」を設置しています。

このネットワーク協議会は、同年5月に設置された「とよはし若者サポートステーション」の設置と同時期に設置されており、当初から「相談窓口と支援の場としてのサポステ、実務者の連携促進の場としてのネットワーク協議会」という構造ができていて、いきなりこの体制を構築するのはすごいな…と思って質問したところ、前任者の方が、子ども・若者政策の今後の動向についての情報をどこからか入手されたという話でした。

豊橋市にはよほど優秀な諜報機関かスパイマスターでもいるんでしょうかね(笑) というほどのことでもないですが、自分の地域の中の情報だけでなく、もすこし広い範囲での政策的なベクトルを把握しておくと、少しずつ準備を進められるというメリットがあるようです。

協議会のポジショニング

豊橋市の協議会は「困難を抱える高校生支援(不登校・中退対策)に注力しよう」ということで、協議会の活動のフォーカスポイントを定めていたそうです。

もちろん、高校生だけの相談にしか乗らないというわけではなく、他の年代にも対応するのですが、設置当初、高校中退者の割合が全国平均よりも高いという問題に直面しており、それを解消するというのが大きな課題だったという背景があります。

実際、その研修会の参加者の反応も見たんですが、高校中退後に困難に直面している人をサポートできるリソースって地域にはあんまりないんですよね。

逆にいうと、中学校までは教育委員会、大人になってからの問題はハローワークやサポステ、福祉部門がカバーしていて、無理してそこまで子若協議会でカバーする必要がないともいえるわけです。

そのような状況下で、協議会の論点を絞り込むのは、参加者にとっての参加目的が明確化されたり、他の協議会との重複を無くせたりといったメリットが期待できるそうです。

「とにかく設置しよう」ではなく、地域の実情と提供サービスを鑑みて、どこに注力するのかを考えて協議会をデザインすることが重要なのではないでしょうか。

安定的かつ効率的な運営のための仕組みづくり

協議会を運営している地域でよく聞かれるのは「協議会がマンネリ化してしまって、何を話せばよいかわからない」というご意見。

個人的には、「問題が解消しないかぎり(地域内の困難を抱える子ども・若者がいなくならない限り)」話すことは尽きないはずだと思うんですけどね。。。

豊橋市の場合は、会議の形式をいわゆる「ロの字型のよくある会議」ではなくワークショップ形式にすることで、参加者からの意見を引き出すような工夫をしているとのこと。

年に1回開催の豊橋市の名物イベント「子ども・若者フォーラム」は、盛況時には約60の機関から約80名が参加するそうです。

会議であれ、イベントであれ、活発にするために重要なのは「コンテンツ」と「集客」だと個人的には思います。人が集まらない、活性化しないという嘆きが出てくる地域は、だいたいこのどちらか(あるいは両方)がうまくいっていないことが多い気がします。

子ども・若者に関わる問題意識は多くの個人・組織が持っていらっしゃいます。

その人たちが不満なのであればそれはコンテンツが参加者にとって新奇性が低かったり価値が無いということ。

欠席が多いということであればそれに加えて広報や周知不足。

豊橋市の場合は松井さんはじめ、ご担当者の方がいろいろな地域の事例を足をつかって仕入れ、盛り上がるための仕掛けを考え、いろいろなルートをつかって参加を要請している賜物なんですよね。

当事者目線(UX)を重視したサービス設計

豊橋市の取り組みの節々には、当時者の立場にたったサービス設計の視点が感じられます。

様々な事情で全日制高校に通えない高校生が困っているという気づきをから通信制高校の合同説明会を開催したり、それまで豊橋駅から車で15分のところにあった相談センターを駅歩10分のところに移したりといったそれぞれの取り組みの根底には、利用者にとってのユーザビリティを高めるという姿勢があります。

個人的に興味深かったのは、総合相談窓口を直営から社会福祉法人に移管したことで、行政直営ではなかなか難しい土休日や夜間の運営がこの措置によって可能になった結果、平日の日中に相談に来れない学生や保護者の利用のハードルがぐっと下がったという話でした。

これらの取り組みは、協議会が高校生(とその保護者)を主軸にした結果、サービスの利用者の解像度が高まり、ユーザビリティが高めることに成功した例と言えるかもしれません。

新規事業開発の観点ではよく「UX(=User Experience、利用者体験)」の重要性が指摘されます。UXを起点にしたサービス開発こそが、利用者に支持され続けるためには重要であるという考え方ですが、豊橋市の取り組みはまさにこの考えの中で実行されているような気がします。

 

豊橋市の取り組みはその他にも、地域間連携など、特徴的な取り組みがたくさんあったのですが、二時間という尺の中ではとてもすべてを拾いきれませんでした。たぶん6時間くらいあっても足りないと思う(笑)

松井さんとは今後もちょくちょく会うので、折に触れて研修会では触れられなかった部分についてもうちょっと突っ込んだお話を聞きたいな~と思いました。

コレクティブ・インパクトと子ども・若者支援

コレクティブインパクト

この言葉を日本で聞くことは稀です。

それこそ「育て上げ」ネットの工藤さんが口にするのを聞くくらいなもんなのですが、米国生まれのこの考え方を日本語に訳すと

「複数の異なる組織が、ある社会課題を解決するために、個々の組織の壁を超えて協働し、課題解決というインパクトをもたらす」

という考え方のこと。

2011年にMark Kramaer氏とJohn Kania氏が「Stanford Social Innovation Review」という雑誌に寄稿したのが最初だと言われています。→SSIRの論文は無料で閲覧可能(英語)

ちなみに両氏ともに、ソーシャルインパクトを専門とする世界的コンサルティング企業のファウンデーション・ストラテジー・グループ(FSG)のメンバー。

この考え方は、単一の、あるいは限定された領域のプレイヤーの参画だけでは解決ができない(超時間がかかる)ような社会的課題の解決に対する一つの処方箋になると上記の論文の中で紹介されています。

例えば、子ども・若者支援であっても、困難に直面する当事者を発見してから何らかの形で自立できる状態に持っていくためには、行政のどこか特定の部署の活動だけでは難しいですし、NPOだけでも難しい。

また、行政やNPOのような非営利のプレイヤーだけで可能かと言われると、それも難しい。例えば、就労が絡んでくるようなケースにおいては、多少なりとも企業やビジネスサイドの理解と協力が必要になってくるわけです。

理想的にはそれらのプレイヤーが協働して目的(この場合は当事者の自立)を達成し、かつ、各プレイヤーにとって参画したメリットを享受できるようにすればよいのですが、まあそれが簡単にできればSSIRやHBRでこの考え方や、方法論が示される必要もないわけです。そう。実際には、とても難しい。

SSIRの論文では、実際にコレクティブインパクトを生み出すためのポイントとして、

  1. 共通のアジェンダ
  2. 共通の評価システム
  3. 相互に補強しあう活動
  4. 定期的なコミュニケーション
  5. 活動に特化した「支柱」となるサポート

が必要とされています(文言はSSIRよりも後に執筆されたHBR(文末で紹介)のものを記載)。

簡単に言うと

  1. 多様なプレーヤーが受け入れ可能で参画したいと思う共通目標を設定して
  2. その目標が達成できたと誰もが理解できるゴール指標やKPI(Key performance indicator:達成度を評価するための指標)を設定して
  3. 各プレーヤの強みを掛け合わせて
  4. 定期的にコミュニケーションする機会を創り
  5. そういった様々な活動を支える縁の下の力持ち的な存在を用意しようね

ってことなんですが、これ、現場感覚からするとかなりハードル高くて苦笑が漏れるレベル。「いや、そうなんだけど、それができないから困ってんのよ」という声なき声が聞こえてくるようです。

いろいろな自治体と子ども・若者支援地域協議会の設置・運営について協働している経験からすれば、まず共通のアジェンダセットする前に、プレーヤー間の信頼関係が無いことが多い。そんな相手と夢を語るとか夢のまた夢。

特に、非営利団体から見たときの営利団体(一般企業)に対するスタンスが懐疑的すぎる。「どうせ儲けるためにやってるんでしょ。自分たちとは違う原理で動いてるからわかりあえないよね~」と距離を置いていることも多い。

非営利の人は給料もらってるし、営利は利潤を還元するならそれはフェアな気もするんですけどね。

仮に底の部分がクリアできたとしても、今度は企業内部で、その活動の投資対効果があるのかという「投資の正当化」についての説明がクリアできなければならない。

1~5のポイントに到達する前に、まあ結構な超えなければならない山々が青々と連なってるわけです。初夏の穂高なら気持ちがいいんですが、仕事の場面でこの風景はかなりエグいかもしれません。

とはいえ、それが一度動き出せば、これまでに各プレーヤーが見たこともない風景が広がっている可能性も十分にある。ハイリスク・ハイリターンの商品でしょうか。金融商品的な「分け」で言えば。

個人的には、冒頭で引き合いに出した、子ども・若者領域はまさにこのコレクティブインパクトの考え方が必要だと思います。

特にリソースが限られている地方においては、営利・非営利の枠や、公共・民間の壁をつくってる場合ではないと思います。地域の若者のためにできることをやる、という意思のあるプレーヤーが広く参加できる(自由に参加できるという意味ではなく)場を創っていくことが非常に重要なのではないかと思います。

コレクティブインパクトの事例については、今後ちょいちょいご紹介していければなと思っています。

ちなみにハーバードビジネスレビューの2017年2月号でコレクティブインパクトを取り上げた記事はAmazonでKindle版を購入可能。SSIRの内容と比較して、キープレーヤーである企業のポジショニングについての示唆や事例が更新されています。