7・8年前の前職時代は、この研修会に事務局として参加していて、会場の後ろの方に座っていたんですよね。それが前に座って50~60人くらいの方々を前にお話をさせていただける、なんだか不思議な感じです。
この研修、全国の子ども・若者支援に関わる相談機関の相談員さん向けに毎年行われるプログラム。3日連続で、私の担当は2日目の午後の4時間。
このコマ、(後ろで見ていたものとしての)経験上、最も困難なタイミングです。なんたって眠い。参加者初日の夜に懇親会で飲んでますからね。確実に睡眠不足です。
しかもさして広くない教室にパックされて二酸化炭素濃度高いなかで、午前中も4時間ばかし受講されているわけですから疲労もマックスでしょう。僕なら確実に集中力きれてますね。下手すればイライラしてるかもしれない。
ということで、軽く受けたんだけど、当日近くなるほど「これ、相当工夫しないとやばいな・・・」と頭を抱えました。
この悩んで資料をあーでもないこーでもないと編集する作業には、国のこの手の依頼にはフィーがつかないので、一秒でも早く仕上げる(下手すれば既存資料を使いまわす)のが大事なんですが、国の事業に最初に御呼ばれしたわけなので下手なこともできない。
それに何よりテーマが
「デザイン思考を活用したケース検討の実践」
なので、土台になるような資料がない。こういう掛け合わせで講演してるの聞いたことない。
実際開始直後に「デザイン思考という言葉を聞いたことある人?」と振ってみたら手が一本も上がらなかった。一本も!?こんな事初めて(笑)
ということで、いろいろ悩んだ挙句、普段2日か3日かけてやる内容を4時間に詰め込んだ200ページ弱の資料ができました(多っ)
まあ1ページ1ページの情報量は少ないのでこのボリュームなんですけどね。文字多いページはそれだけで眠くなるので(笑)
そして、当日、体調は若干悪い。というか良くない。風邪気味です。
本当はその日は一日ワークショップのことしか考えたくなかったんだけど、別件の資料レビューが入ったのでまずはそれを昼前に終えて、昼過ぎに会場のオリンピック記念センター(通称オリセン)へ。
昼についたので、体調も悪いことだし、近くのラーメン屋で「黒ゴマ担々麺」をリクエスト。これが当たった。振り返ってみると、あのタイミングでゴマがたっぷり入ったあの一杯をチョイスしたのが、その後何とか乗り切れた原因だったのかもしれないとすら思う。担々麺の辛さとゴマの成分(?)のおかげで身体がポカポカになり、いざ会場へ。
しかし代償も大きかった。
会場入りしたあたりから急激に腹部の情勢が不安定化。ここ数日の暴飲暴食に黒ゴマ担々麺がとどめを刺す形で、田中の腹部でかろうじて保たれていた均衡が崩れたのでした。
こんな空気読めないタイミングでの「開けゴマ」はいらない。そもそも開ける門間違ってる
おなかをさすりつつ、会場はまだ午前の部をやっていたので、控室に。今年から受託した企業の担当者がのんびりしてましたのでご挨拶。しばし資料を確認していると、会場が開いたとのことで下見に。
持ち込みPCが投映できるかを確認して、もう控室にいてもやることないので会場の演台で再び資料の確認。事務局の人が午後のシフトに会場をリセットし始めました。
しかし、どうもおかしい。4人グループでお願いしていたのに、机に置かれたグループの紙片の枚数見る限り、6人グループだ。確認したら「ほとんどが6人、2グループだけ5人」ということで、リクエストした内容にかすりもしない構成になってる。
アイスブレークとかインタビューとか4人で回す設定なので、時間配分がだいぶかわるんですけどー。。。
とか不安が頭をよぎる、間もなく、今度は卓上に配置されたポストイットに目がいく。
え、そのポストイット、なんで短冊状なの。
ふつう正方形のやつにするでしょ。。。
ちなみに正方形の在庫はないとの連れないお返事。不安が2連鎖。
そして事務局がセッティング終わった感じで隅っこに退散していくんですが、今度は机の配置がおかしい。
長机が整然と並んだ配置にしてくれてるんですが・・・
グループワークって連絡してますやん。
模造紙使いますやん。
明らかに長机一個ずつ配置してたらワークできないやん。
ということで、長机二つで1つの島をつくってもらうようにお願い。事前のフォームにそんなこと書くスペースはなかったので申し送り十分にできてないのも原因だけど、せめて事前に確認してくださいよー。ということで不安三連鎖。
急いで自分の資料を作り直して6人グループ仕様にして、事務局は机の再配置。
いやこれ、二時間前にきといて正解だったー(あぶねーx2)。
ワークショップ初めてやる会場では超前入りしたほうが絶対いいという先輩の教えに納得。
いろいろ終わって開始30分前、このころには参加者の方がちらほら着席を始めます。しかしこの間がなんとも嫌で。第一静かすぎる。こんな状態でワーク入ったらそりゃアイスブレークいるわ(でもそんな時間はない)。
ということで、スマホを取り出しおもむろにAmazonMusic起動。作業用ジャズのコンピレーションを流して、その音を据え付けマイクで拾って即席のBGMを流す。
するとあら不思議、押し黙っていた参加者の表情が急に緩んで周りの人と雑談したり名刺交換始めたりし始めましたよ。音楽の効果って偉大。
その後、参加者の方の中に北九州市の総合相談センター「YELL」の方がいらっしゃったので、ちょっと聞いたところ前日に懇親会的な飲み会もあったとのこと。ある程度関係ができているのと、各グループ内の雰囲気よさげなので、アイスブレークパートは思い切って丸々削除。結果的にはこれやってたら、いただいた時間を大幅にオーバーしてたので、ギリギリの判断が奏功。
ということで、不安は感じながらも、与えられた環境を当座のトライアル的な仕込みをいくつか投下してできる限り改良して、いざワークショップ開始。
のっけからデザイン思考認知率0%ってのには鼻白んだわけですが、その後は何とか進めることができました。
もうね始まったらやるしかない。目指せ一座建立。参加者の皆さんも何とかついてきてくれているご様子。時折笑顔が出たり、席から立ち上がったりとうれしいアクションも出てきたり。そういう能動的なアクションを見て、ひそかに精神力を奮い立たせる。
相談員の方々が比較的抵抗感なく参加してくれているのって、デザイン思考をしらなくても、現場で実はデザイン思考に近い考え方で支援のしてらっしゃるからだと思うんですよね。
たとえば、当事者を中心に据えて、そこから支援を考えていくのはユーザー中心の考え方に通じるところがあります。
また、他の専門家との協働を前提として支援を展開しているところなんかは、アイデア創発時の多様性を重視する考え方に重なる。
ただ、その過程に方法論としてのフレームがあるわけではない。無意識的にやっている。
無意識にやるのと、今そのアクションをなぜやっているのかを理解しながらやるのとでは、特に成果を出す前の効率性が異なってくる。
たくさんのケースを抱えて時間が不足しがちな現場にとって、フレームを実装して支援を行うことはとても重要なことだと思うのです。
あと、支援を組み立てるときに、どうしても地域のリソースがキャップになってしまうんですよね。現実的なソリューションを出すときに、地域資源の限界を意識して支援を組み立てることはもちろん重要なんですが、それだとずっと”地域にあるもの”だけでしか支援を組み立てられない。
今回はデザイン思考のアイデア創発フェーズで、いったんそのキャップをわきに置いて自由に発想してもらいました。
そうしたほうが、当時者ニーズに本当に必要なことを考えられるし、地域の未来を考えたときに必要なリソースも見えてくるからなんですよね。
今あるものを所与にしてしまうと、できることはずっと変わらない。
でも、足りないものが見えてくれば、それを埋めよう、組み合わせて創り出そうという機運が生まれてくるかもしれない。
そんなことをこのテーマでやろうと思ったときに考えたんだった・・・と、頭の片隅で思いながら進めていきます。
さすがに後半は参加者の疲労の色も濃くなってきたので、
休憩時間を想定よりも多めにとったり、休憩から戻ってきた直後にストレッチしてもらったり、戦術的な手練手管を使って何とか参加者のテンションを維持。4時間で寝る暇を与えず、普段とは異なる脳みその部位を使ってもらったので、終了時の参加者のクタクタ感は半端ない感じでした。何人か目の下にクマできてるな・・・
終了後には多くの方と意見交換する機会をいただき、デザイン思考を使ったケース検討の可能性について理解できた気がする、とフィードバックをもらえたのはありがたかったですね。
事前準備と即興的な対応で何とかしのいだ4時間。帰宅後に夕食を食べて、気絶するように寝ました(笑)