岡山県勝央町の子ども・若者支援の取組み「体験バンク」のポテンシャル①

2月14日に内閣府で開催された青少年問題調査研究会で子ども・若者支援の取組みを発表した4地域の1つ、岡山県勝央町のプレゼンテーションで、同町が試行錯誤の中で生み出した面白い取組み「体験バンク」が紹介されていました。

「体験バンク」は、ニートやひきこもりなどの悩みを抱える方に対して、外出の第一歩やジョブトレーニングの一環として利用してもらうという位置づけのプログラムです。

勝央町内の様々な事業者のところで、同町の子ども・若者サポートネットが支援する若者が仕事体験をする、というものなのですが、勝央町の担当部署と、ユースアドバイザー(YA)の活動により農業から製造業、サービス業まで約30の事業者が受け入れの名乗りを上げている状況とのことです。

この取組みのポテンシャルの高さはいくつかの視点から指摘することができるのですが、おおまかに以下の3点と考えています。

  1. ユースアドバイザーという支援リソースの活用に成功したこと
  2. 地域内の事業者と連携することで、町ぐるみの支援体制を構築したこと
  3. 後継者の発見・育成という地域が抱える問題を解決する可能性を秘めていること

まず1点目の「ユースアドバイザーという支援リソースの活用に成功したこと」について。

ユースアドバイザー(YA)とは、内閣府が「困難を有する子供・若者を支援する人材」として位置付ける支援者のことです。ユースアドバイザー養成プログラムでは、

「様々な専門家を結合する要の役割を果たす人材であり,複合的な困難を抱える若者に対して,専門の異なる関係者を束ねて包括的な支援ができるような役割を果たす人材」

と定義されています。支援の現場ではこのような人材の必要性も認識され、モデル地域で育成のための取組みも行われていたのですが、修了者にどのように活躍してもらうのかはモデル地域の裁量に任されていました。

勝央町では、モデル地域の指定を受けてから町内の生活者の中でYAの育成を進めてきましたが、その活用について様々な検討を重ね、最終的に体験バンクの事業者を見つけ出し、子ども若者支援の重要性を説明し、説得するという重要な役割を担ってもらうという所に着地しました。

YAは地域の様々な立場の方が修了しています。一方、地域の支援リソースも地域内の様々なところにありますから、地域の支援リソースの発見・活用という目的とYAの活動は相性が良いと言えます。

勝央町は田中自身も過去に事務局として取組みを担当していたこともあり、担当者の方とも現在進行形でやり取りをしていますが、担当者の方いわく、現在の活用方法を思いつくまでには様々な悩み(というか、目途が立たないので途方に暮れていたという方が正確)があったということでした。

子ども・若者支援は企業活動で言えば新規事業に近く、正解が初めから用意されているわけではありません。

それゆえに地域の中で問題解決を進めていく必要があるのですが、勝央町の体験バンクはまさにそのプロセスを歩まれ、体験バンクという潜在性の高い取組みに行きついたと言えるのではないかと思います。

と、YAの活用についての話が長くなってしまいました。ポテンシャルの2と3については、別エントリーでご紹介したいと思います。

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