夢オチ扱いされそうな日本ベルギー戦

日本の敗戦で「つかみかけた夢」「夢のような試合」とか、「夢」という言葉がたくさん使われていて興味深い

恐らく、今回の敗戦が色濃く持っている「非現実味」を受けて、皆無意識的にこの「夢」という表現を使っているのではないでしょうか

この非現実感は

1)まさかここまで善戦するとは思わなかったという意外性
2)後半の35分間で2失点、さらにアディショナルタイムで決勝点という展開の手のひら返し感
3)技術的な劣位を戦術的な工夫でなんとかイーブンに持ってった中で、検証不可能なメンタル的な部分で勝負が決まってしまったモヤモヤ感
4)未明で眠い

といった要素で構成されていて、みんな何で敗けてしまったのかよくわからない。
だからとりあえず「夢オチ」扱いにしてる感じがしないでもない。

個人的には両チームの2点目の失点はチームの動揺が遠因で、そのほころびに付け込まれた形の失点だし
日本が喫した3点目は、日本の選手の注意が一瞬でも延長戦に移ったことによる油断が原因な気がしています。

夢で片づけるよりは、取り扱いむずいけど、メンタル的な部分が勝敗分けたかなと、そう思える敗戦でございました。

多くの強豪は、そういった苦い経験が歴史としてチームのDNAに練りこまれているからこそ強いんでしょうね。
だからこそ日本のこれからにとって意味のある敗戦だったと思おう。良い経験だった。

夢で片づけず、しっかり記憶に留め、未来のサムライブルーの勝利に繋げていってほしいなと思う。

結局のところ、トライの結果には成功か学びしかないのだから。

日本-ベルギー戦に見るメンタリティの重要さ

日本ベルギー戦、アラーム無しで26時に起きて見てました

いやー2点取ったところまでは素晴らしい試合運びでしたね

フィジカルとタッパでは勝てないならシュートコースを潰す

これまで使わなかったサイドチェンジとロングボールの多用

カウンターからの緻密なパスと素晴らしいシュート

世界3位相手の61位の戦いではなく、ランキング10位台でもおかしくない、堂々とした戦いぶりだったと思う

西野監督始め、スタッフの観察と考察、選手との意識共有の賜物でしょう。That’sチームプレー

一方のベルギーは1点取られて明らかに動揺してましたね

動揺した状態で前がかりになったところで日本がスキを突いて2点目を取った。

これはいけるんじゃないか・・・?

と一瞬でも思ったわけですが、この動揺というのが、アンラッキーな1失点目で日本にも広がり同じように、その動揺が収まる前に2失点目を喫してしまった。

そこで俺らのレオ将軍こと本田選手と山口選手を入れたけど、2点目入れられてから若干ピッチ外も混乱しているように見えた。

そしてロスタイム、本田の惜しいFKからのCK、たぶんそこで「延長戦かな」と思ってしまった最後の最後でシンプルなカウンターと「まあそうくるよね」というスルーで決勝点。

技術的と戦術的の面で、日本はベルギーと互角の戦いをしていた。いくつかの順位差を表すような稚拙なパスミスもあったけど。

でも結果は敗戦。技術・戦術で互角なのだから、それ以外の要因で敗けた。たぶんメンタル的な部分でやられた。だから皆なんだか納得いかない。

試合後、SNS等で「夢を見せてもらった」みたいな表現を使ってる人が多いのも、後半の展開がなんだか狐につままれたようなものだったからなんじゃないだろうか。

最後の最後で「これで延長戦だな」という油断があった。赤い悪魔はそこを見逃さなかった。たぶん総体としてGoodな試合という印象と評価の陰に、その油断の存在は押しやられてしまうだろう。

でも、16強の壁はチームの外にあったのではなく、自分たちの中にありましたよね。

今回の試合で改めて、勝負の世界においてメンタル的な要素が本当に重要だと再確認した

日本チームはメンタル的な強さはまあまああるとは思うけど、安定的ではなかった。どうやって解決するか見えないので「夢」にしちゃうのは、まちがいなく下策だ。

「子ども・若者支援の仕組みづくりは行革である!」

とは、立川市の子ども・若者支援地域協議会の立ち上げに尽力された当時のご担当A氏のお言葉。
 
その通りだなーと思うんですが、クライアントにこの言葉を申し上げると、みんな一瞬硬直するんですよね
 
行革の「革」の字が苦手とする方は少なくない
 
だけど、そのくらいの覚悟でやらないと地域の若者を支える体制をつくることはできないんですよね
 
様々な部局に横串刺して
異なる部署の担当者間の相互理解を進め
当事者を支援するための新しいサービスをつくりあげていく
前例がないから当然トライ&エラーの繰り返し
 
いろいろなところが普段の行政の方の仕事の仕方と違っているから、躊躇してしまうのも無理ないなと思うのですが、じゃあ誰がこの問題に先陣切って取り組めるのかと言えば行政くらいしかないわけです(今のとこ)
 
そんな行政の担当者の、先の見えなさからくる不安を全国の先行自治体の事例を引きながら可視化して緩和する
On the 筋道で歩いていくプロセスを伴走してサポートする
熱意のある担当者がたとえ異動しても動く仕組みを作っておくのをお手伝いする
 
そういうサポートがあれば、行政の領域でもいろいろなイノベーションが生まれてくるということを、育て上げネットの活動を見ていて実感する毎日です。育て上げネットの一員として、あるいは個人事業主として、そういった活動に貢献できるのはとてもありがたいことだと思っています。

相手に伝わる内容=考えているコト×伝え方

昨年までいた古巣で仕事したいという大学生を紹介されたのだが
入社10年が経過して、しかも卒業済みの自分が会社について語るのもどうかと思ったのと
どうせならオフィスの現物を見てもらったらリアリティ出るかなという事で
インストラクタ―をした3年目の友人に頼んで、新年度初日から社員訪問に付き合ってもらう

就活生は一生懸命何かを伝えてくるんだけど、その”何か”が伝わらない。結果的に抽象度の高い、誰でも語れる内容に落ちてしまう。

なんつーか、山田花子さんという女性が好きで、いざその気持ちを伝えようという時に、
「自分は女性がすきですっ!」
「女性の中でもスカートをかわいく履きこなす人がすきなんですっ!」
「だから付き合ってください!」
って言ってる感じ。
それでOKしてくれる女性がいるかといえば、まあいないわけです。

友人と一緒に、語る内容を根掘り葉掘り聞いたり、話の内容を会議室のホワイトボードに書きつける中で(むろん、就活生にコンサルフィーは要求していませんw)、ようやく「なぜその仕事に就きたいか?」が見えてきた(けど、「なぜうちの会社?」の部分については、時間切れで考えてもらえなかった)。

自分の気持ちを言語化できるほどに具体的に認識できていることは少ない
自分の気持ちや考えていることは、自分と同じくらいのレベルで相手が理解してくれると期待している

冒頭の掛け算でいうと、「掛ける数」も「掛けられる数」も非常に小さい値で勝負に臨む人が多いわけですが、結果的には相手に伝わらない。
恋愛ならフラれるし、就活ならお祈りされる。

まあこのことはどんなことにも当てはまると思うんですが、特に人生の決定打になりかねない場面なので、そのときくらいはしっかり自分と向き合って、相手を一生懸命理解して行動することをオススメしたい。

がんばれ就活生。

【本】世界はもっと美しくなる

 エクセルシオールカフェで読んではいけない一冊だった…(涙)

奈良少年刑務所に収監されている人がつくった詩の詩集、読了です。いや、当たり前ですが、こういう本もあるんだなあと。

奈良少年刑務所で行われている「社会性涵養プログラム」の一環で行われている「物語の授業」で、受刑者がつくった詩が紹介されています。

視界がぼやけること二度三度、人前で涙するのは何とかこらえたものの、危なかった…苦笑

いまどき詩作かよ、という話かもしれませんが、このプログラムは刑務所で9年間も続けられていた(いた、というのは奈良少年刑務所は2017年で廃庁になったため)ことから、現場目線でも効果が認識されていたことがうかがえます。

9年も続いた理由は、編者の寮美千子氏が前書き部分で言及しているように、詩作と朗読によって、受刑者の心の扉が開いた後に彼らが持つやさしさが驚くほどに表れ出たからなのではないかと思います。
実際に紹介された作品も、他者との絆や、家族への感謝や愛情を扱ったものがたくさん出てきます。一方で、彼らが生きてきた日々がどれだけ過酷なものだったのかを吐露した作品も多く、複雑な気持ちになります。

罪を犯した人が犯した罪を悔い改めて償っていくことはもちろん重要なんだけれども、償うためには彼らが社会で生きていくことを許容する社会でなければならないわけです。
それに、彼らの作品を読んでいると、彼らをして犯罪に走らせたのは一体誰なのか、何なのか・・・

ちなみに、巻末に紹介されているプログラムの進め方は、ワークショップにおけるダイアログのセットアップ方法と驚くほどに類似していて、実務的な参照性も高いというすばらしい一冊となっております。おススメ。

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【本】少年院のかたち

『殺人をやって「自分が死ねばいいですから」という少年もいます。「死んだら簡単だよ」と叱ります。
「被害者は苦しいよな。おまえも苦しめよ。なにを苦しむんだ?」
「償いと簡単に言うな」
「ここにいる時は俺も一緒に背負う。だけど社会に出たら、おまえはどう背負う」
それらしい謝罪と作文で終わり、というわけにはいきません。
それもやらないと法務教官じゃないですからね。』

いまお手伝いしている仕事のうちの一つが、少年院に関わるものなのですが、そもそも少年院ってどんなところなのか、そこに入院している少年はどういう人なのか、さらには、そこで矯正教育を担う教官はどんな人たちなのか。

知るということは大事なことだと思うんですよね
それを知っているか、知っていないかで自分の見方は大きく変わります

少年院に収監される人は自分たちとは違う、と思った瞬間にそこは見なくてもよい領域になってしまう、その頭の動きが危険です。関わりはなくても、知ってるのと知らないのとでは出てくる考えは大きく変わるので。

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イノベーションのルーティン

『イノベーションの成否を分けるのは、単調な骨折り仕事をマスターできるかどうかだ。
創造のプロセスは通常は輝くようなアイデアから始まる。
このすばらしいアイデアに見込みがあれば、次にはビジネスの見地から見て進める価値があるかどうかを決定する。
このあたりは心躍る部分だ。知的には恐らく最も刺激的であろうが、同時に比較的容易な部分でもある。

続いて、そのアイデアを実行段階に引きおろすという現実的な仕事が来る。
これがイノベーションの中で最も単調な部分であり、人々に対するプレッシャーや鼓舞のほとんどはここで必要になる。

Diamond ハーバードビジネス 1990.7.』

そう。そうなんですよね。
イノベーションは飛躍、破壊的な新しい価値がすごいスピードで広がっていく、というイメージが持たれているんですが、実は中盤からルーティン作業が山のように現れてきて、そこに埋没しなければならない時が必ず来る。

イノベーションのイメージとは真逆の活動なんですけど、成功しているイノベーションチームは何のことはない、このフェイズですらすごいスピードでやり進め、はたから見たら飛躍的なスピードで成長してるように見えているだけなんですよね。

最澄とU理論

平安時代の仏教て、今の社会にとっての「科学」みたいな、非常に重要な位置づけだっただろうから、僧侶は超ざっくし言うと科学者みたいなもんだと思う。

そう考えると、さしずめ最澄と空海はジョブズとベゾスって感じでしょうか。それぞれすごいイノベーターだと思うわけです。

で、特に最澄について書かれた梅原猛氏の『最澄と空海』で読み進めていくと、最澄の人生はオットー・シャーマーのU理論の道筋に驚くほど当てはまるのが面白い。
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支援の輪を広げるNPO法人PIECESの挑戦

先月行われた内閣府の青少年問題調査研究会でプレゼンした4つの総合相談センターの担当者の方々が、地域の生活者との連携という点に注目しているのが印象的でした。

子ども・若者を支援していく上で、専門性を持った支援機関の存在はとても重要ですが、支援機関だけでは地域内で困難に直面する子ども・若者を見つけて支援し切ることは難しいのも現実です。当事者と専門家とのギャップを埋めるためには、非専門家―地域の生活者―の参加と協力が不可欠だと感じます。

足立区と豊島区をメインに、子ども・若者支援に取り組むNPO法人PIECESも、地域の生活者との連携を活用している団体だと思ってます。

あ、なんでPIECESの話がいきなり出てきたのか、といいますと、副代表の荒井さんと打ち合わせのため、オフィス初訪問してきたのでした。 “支援の輪を広げるNPO法人PIECESの挑戦” の続きを読む

LINE相談を運用していくための3つの課題

育て上げネットは、厚生労働省の自殺対策の一環として試験的に開始されたSNSによる相談を行う団体として指定をされており、現在進行形で対応を始めています→参照ページ(厚労省)

田中は後発組ながら支援の一端を担うべく、本日研修を受けてきました。一日のうち、午前が座学、午後がケースを用いた模擬対応に参加してきました。 “LINE相談を運用していくための3つの課題” の続きを読む