ニートが管理職になる会社 デジタルハーツ

昨日の研修会で参加者の方からいただいた質問のひとつに「ニートでも職につけるのか?」というものがありました。

結論からいうと、全然就職できます。

元ひきこもりの自分でも就職できてますし、周りにもニート状態から学校に戻ったり、就職した人はいくらでもいます。

会社レベルでも最近は発達障害を持っている人や、元ニート・ひきこもり状態にあった人を積極的に雇用しているところは結構出てきました。

中でも有名な会社を上げるとすれば、ゲームのデバッグ、特にバグ(不具合)の発見を行っているデジタルハーツ社がありますね。

詳細は、ひきこもりやニートの方についての篤い記事を精力的に描き続けておられる池上正樹さんの記事をご参照いただければ、よりご理解いただけるのではないかと思います。

※2ページ目からは会員登録が必要。

同じ状態なのに、一方では自室に閉じこもらざるを得ない。

もう一方では、頼れる戦力として位置づけられ、本人もその期待に応えて活躍している

こういう会社の取り組みを拝見していると、結局のところ、ニートやひきこもり状態にある人を、そもそもその状態に追いやっているのは本人ではなく、周囲の環境や、当事者を取り巻く社会の側にあるのではないかと改めて思います。

ニート・ひきこもりという”状態”を見て、社会に出ていくのが難しいだろうな、という判断をまずは留保して

当事者自身を理解し、それをベースにやれることを一緒に見つけていく、という姿勢が支援者側のマインドセットとして非常に重要になっていくのではないでしょうか。

また、やれることの引き出しは、支援者一人では限りがあるので、そういったときに考えられるチームや場があれば、より可能性が広がるのではないかと思います。

生活保護と持ち家

昨日の研修会の参加者から、「持ち家があると、生活保護を受けられないのではないか」という質問をいただきました。

結論から言うと、そんなことはありません。

大元締めの厚労省の資料にはこんな感じで言及があります。

基本的な考え方として、売却が原則。

被保護世帯の居住の用に供される家屋及びそれに付属する土地については、保有を容認し、保護を適用。

ただし、処分価値が所有価値に比して著しく大きいと認められる場合には、売却等による資産の活用をした上で、保護の要否を判断

一つ目の項目を見たら「やっぱり売却か・・・」と読めるわけですが、二つ目の項目をよく読んでみると、住むために必要なら保有してもよい、ということなんですね。

ただ、売却したら高額で売れて資産形成できるなら売却してもらうよ、ということのようです。ざっくり言うと。

さすがに生活保護の制度も鬼ではないということですね。

引きこもり状態が長期化した場合、少しずつ支援の方法は減っていきます。

その最後の砦として生活保護制度があるわけですが、その内容は複雑で経時的に変容する可能性もあり、担当の方でない限りすべてを把握しておくことは困難だと思います。

そのようなときに、たとえば子ども・若者支援地域協議会で、生活保護制度の理解を高めるためのレクチャーを担当者にお願いしてもらったり、ケースを扱う際に生活保護受給の可能性について意見をもらうといったことが、制度理解や連携促進のためには重要なのではないでしょうか。

時に風当たりの強い生活保護制度ですが、この制度が必要な家族は確実に存在します。チーム全体で理解度を高め、必要としている人に制度を適用していきたいですね。

子ども・若者支援地域協議会 集客のコツは組織理解にあり

昨日は、愛知県下の自治体担当者の方々向けの研修会にコーディネーターとして参加してきました。

先週の岡崎に引き続き、子ども・若者支援地域協議会を設置していない自治体の担当者の方向けの研修会で、尾張地域の約20の自治体が出席されてました。

しかし、愛知県の自治体って結構多いんですね。調べてみたら県下の市町村数は54(2018年4月1日時点)で、47都道府県の中で上から6番目に多いらしい。

地図とか見ても、名古屋市の周りに村とか町といった名称の自治体が結構ある。コンビナートや有力企業が立地しているので合併の必要性がないのでしょう。

なので、こういった研修会に参加する自治体も愛知県は非常に多いのですが、一般的に、協議会未設置地域の自治体向けの研修会は集客に非常にてこずります。

なんせどの地域も問題意識が無いか、自分の課が出ていくと、なし崩し的にそこが担当課ということになってしまうリスクがあるので、担当者の方として二の足を踏んでしまうことがままあるんですよね。

愛知県の場合は、県から、県下に複数ある県民センター・県民事務所の方から各自治体にプッシュしていただいたこともあり、多くの方にお集まりいただけたとのことでした。

県民センターの担当の方は元教員OBで教育委員会にもいらっしゃった方が多いとのことで、担当課にも声をかけやすかったということがあるようです。そのあたりの関係性を活用して人を呼ぶあたりに、技を感じますねー。

人が参加するのはつまるところ

自分自身あるいは所属している組織に参加するインセンティブがあるか

参加しないと後で困ったことになるか

のどちらかです。今回は後者ということになるでしょうか。

その組織の力学を理解した上でどうやって来てもらうか。

そして来てもらったからにはしっかり気づきや学びといった”Something New”を持って帰ってもらえるか。

そういったことを考えながら参加者を募ることが重要なのではないでしょうか。